病院薬剤師のブログ

徒然なるままに。少しづつ勉強していきましょう。

病院の業務を,薬局薬剤師が応援!?は新しいカタチになるのでしょうか.

薬事日報に,結構衝撃的な見出しがありました.

 

病院業務、薬局薬剤師が応援‐急場の人材不足解消に試行

【横浜労災病院薬剤部】病院業務、薬局薬剤師が応援‐急場の人材不足解消に試行|薬事日報ウェブサイト

 

病院の業務を一部薬局薬剤師に応援していただく,という内容です.

 

これからの病院薬剤師業務の遂行にあたり,これは新しいカタチになっていくのでしょうか?

 

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応援

 

 

横浜労災病院薬剤部の取り組み

 

横浜労災病院での取り組みが紹介されています.

こちらも登録すると記事が全文見られます.有料記事になりますので

本ブログでは無料の範囲内での内容にとどめたいと思います.

 

記事の概要は下記です.

 

・地域の薬局薬剤師に1日数時間だけ調剤関連業務の一部を担当してもらう「応援薬剤師制度」を立ち上げ、今年2~3月の2カ月間試行

・一時的な薬剤師のマンパワー不足を補うことができた一方、薬局薬剤師は疑義照会の流れなどを把握でき、双方にメリットがあった

・将来の不適切な連携を生み出す萌芽になりかねないと懸念も

・「あくまで短期的な試行」

  

となっています.

 

今回私が気になっている点は下記です.

 

  1. この記事になっている,横浜労災病院の位置づけ
  2. 病院薬剤師不足の深刻な現状

 

です.なんとなくこの記事をお読みになる皆様も感じているところかとは思いますが...

 

横浜労災病院の薬剤部のご紹介を勝手に(?!)

研究などで文献検索してみても,救急や災害医療,モーズ軟膏の発表などが目を引きます.

学会などでお話しさせていただいたことのある先生もいらっしゃいますし,

下記Hpをご覧いただければお分かりになるかと思いますが,

関連学会の認定薬剤師も複数存在する,

人的には恵まれた施設かとお見受けいたします.

うらやましいです.

 

全国に複数ある労災病院の一つで,新横浜からのアクセスも良く,

地域の中核病院としては申し分のない施設で,

病院薬剤師も相応の先生方が勤務されていると推測できます.

 

個人的な解釈で申し訳ないです.

いろいろ誤っていた情報だったらすみません.

あくまで私個人の勝手な解釈による情報です.

 

薬剤部|診療科目|横浜労災病院

 

小さな個人病院の薬局,ではなく,650床を有する地域中核病院での記事

というところが気になった点の一つになります.

 

田舎育ちとしては,新横浜にあるきれいな施設の,

優れた薬剤師が複数存在する地域中核病院.

研修,勤務するには魅力的な施設の一つではないでしょうか.

 

病院薬剤師不足の深刻な現状

私個人が勝手に考える,病院薬剤師不足の現状の認識では,

横浜労災病院は,その施設規模や業務内容など,

立地なども考えて,人手不足になるとしたら,

病院薬剤師のなかでも最後のほうになるのではないか,

と勝手に考えているところでした.

 

理由は・・・

やはり給与面になってしまうのでしょうか.

 

病院薬剤師の給与は・・・という話になってしまうと

額面だけの部分では,やはり選択肢に残らない,

という話もよくあることですし

それもよくわかります.

 

そういわれてしまうと,そうなのかもしれません・・・.

 

そして,施設には定員も決められていますので,

人材確保には苦労している現状が読み取れます.

自施設もそうですが,給与面での問題があると,

人手不足になるのは,わかります.

そして,それを補うための人手確保の一つが,今回の記事ということになります.

 

これは,経営的なものが関連するので,

今の医療では,致し方ないとも感じます.

 

それだけ,深刻な問題なのです.

 

病院薬剤師は不要なのだろうか

自分でタイトルを書いていて,かなり憂鬱にもなります.

自分たちの行っている業務が,評価されていない,

ということになるのでしょう.

 

アピール不足などだけではない状況もあるでしょうし,

病院経営に貢献していないことが最大の問題かと思われます.

 

そしてそれが診療報酬に影響されている以上,一般の企業とは異なり,

限界があることも分かっています.

 

下記は,最近話題になった病院薬剤師に関する話題です.

 

広がる薬剤師の代行回答‐プロトコルで疑義照会対応

広がる薬剤師の代行回答‐プロトコルで疑義照会対応|薬事日報ウェブサイト

 

 

タスクシフトめぐり議論~処方代行入力、医師は高評価

 

タスクシフトめぐり議論~処方代行入力、医師は高評価 | 薬剤師のエナジーチャージ 薬+読

 

外来調剤を行わない薬剤師が,何をしているのか.

私も,実習する前は,病院薬剤師の実態を知らないので,暇なのではないか,

と思っていました.就職するまでは.

 

職業は,就いてみないと分からないことのほうが多いですよね.

 

給与だけ良い,というところはないでしょうし,やりがいだけでもダメです.

 

上記のような話題が出てきている現状から,

診療報酬がこれからどのようになっていくかはわかりませんが,

暗い話ばかりではないことも,

上記のような報道を見ていると分かります.

 

人手を確保する一つの取り組み

少し話しはずれましたが,

 

横浜労災病院薬剤部の話題に戻ります.

 

マンパワー不足の解決の一つに,様々な方法を試してみることは,

忙しすぎるー,

無理ダー

 

と言っているだけよりは,数倍価値があることだと思っています.

 

学生のアルバイトなどを行っている施設なども,以前拝見いたしました.

 

本記事には(有料の契約ですが)そのヒントもあります.

 

詳細は書けませんが,私もこの記事を確認したときに

気になったことは,

  • 何をやってもらったのか
  • 実際働いた方はどうだったのか
  • 受け入れに対しての準備など

 

あたりです.

保険とかどうなのだろう,とかも考えました.

 

定数が決まっている職員の雇用状況の中で,

新しい人材の雇用,というのは経営的に難しいでしょう.

 

当施設もそうですが,地域の保険薬局の方に,

外来処方のほとんどの調剤をお願いしている現状からは,

病院の内部についても研修いただくこと,見ていただくことは,素人目で見る限りでは

この記事の中においても,

デメリットよりメリットのほうが大きそうにとれました.

 

ここがおかしい,なども指摘いただけると思いますし.

 

病院の薬剤部は,どうなっていくのだろうか

先ほども書きましたが,ある程度大きな病院であっても,

薬剤部の中の人手不足は深刻です.

そしてそれに反するかのように,現場での責任は大きくなり,

高い資質をもった方が求められている現状です.

 

診療報酬は,病院薬剤師には現時点では厳しく,

余裕を持っている施設はないでしょうし,

それは病院の薬剤部に限ったことではないでしょう.

 

AIや様々な技術の進歩,調剤師の話なども組み合わせて考えると,

二極化するでしょう.

施設内薬局もできている現状から,高い意識を持った方が,

それに見合った職能を発揮し,

病院内での薬剤師がより患者さん,

医療のために役立てるような未来が来ることを願っています.

 

そして,薬剤師が,どのような立場にあっても,

薬剤師であることを誇りに思い,お互いを尊重しあって,

お互いを高めていくことが必要とも感じています

 

足を引っ張りあっている,低レベルなことをしている暇などは

1秒たりともない,それほど切羽詰まっている状況になっている

という認識も必要なのではないでしょうか.

 

今回の記事では,地域の薬局薬剤師の方への応援依頼ということで,

ただの労働力ということだけではないものが,あったと想像できます.

 

大きな病院では,様々な薬剤師がいることで,

当然業務の方法が異なることで大きな問題が生じてきます.

 

そのため,ある一定の水準を担保するための

マニュアルが作成されることになります.

 

特に大学病院などでは,人の出入りが多い事から,

個人の能力に左右される薬剤部というよりは,

一定水準以下に陥らないための手順書を作成する方がより安全で,効率的であるため,

そういったものが作成されています.

 

そしてそのノウハウを,地域の薬剤師会と共有し,

ブラッシュアップしていくことは,作成,管理する側と,

使用する側にとって大きなメリットであることに

早く気付く必要があります.

 

うちが時間をかけて大切に作成したマニュアルだから,

持ち出さない,口外しない,

2次使用しない,それでは閉鎖的なままなのです.

 

もはや,そのようなことを言っている場合でもありません.

病院の内規と同様の調剤を,

保険薬局で行っていただけるのであれば,

ある程度均一化した,

同様の医療が提供できる可能性もあります.

 

今回,そのようなことになっていたのかは,

この記事からだけではわかりません.

 

良い事ばかりを書いていて,悪い部分は言わないのかもしれませんし,

勘ぐってしまっては身も蓋もありませんが,

このような記事なり,注目されている取り組みであることは

確かなことでしょう.

 

上記のように,

基幹病院の薬剤部が,

しっかりとした受け入れ態勢を作り,

研修を見据えた依頼をした,

というところに,非常に大きな意義があると感じています.

 

このような体制作りで,お互いが良い刺激になり,

交流が盛んになり,薬剤師として目指すより高い目標に

近づくことができそうな,

そんな力を秘めているのではないかと感じました.

 

病院で勤務していると,保険調剤薬局では

どのようなことが行われているのかは常に気になります.

同じ職業の方で,働く場所が異なっているところであっても,

同じ薬剤師です.

ことあるごとに私も友人に色々と聞いてしまいます.

 

逆もそうなのでしょう.

 

この記事は,何度も書きますが,

将来性が高い取り組みではないかと,私は感じました.

 

人手不足からくるお互いの業務を知ることへの第一歩,

そしてそれが今後良い方向へつながっていく未来が

少し見えたような気がした記事でした.

 

いかがでしたでしょうか.