【雑記】クリスマス面白論文 みんなで手を洗おう！

街はすっかりクリスマス気分，

昨年クリスマスイブの22時あたりがヤバイ！？という論文をご紹介(かなり意訳)いたしましたが， 

【雑記】クリスマス面白論文 クリスマスイブに要注意 - 病院薬剤師のブログ

皆さんお待ちかねのBMJクリスマス論文が

いくつか出ているので眺めてみました．

現時点(2019/12/19)では，過去のようにぶっとんだ論文はなさそうで，

比較的マジメな論文が挙げられています．どーしたBMJ！

これからも眺めていこうと思います．

ということで，

クリスマスはプレゼントよりクリスマスBMJが楽しみな私が，勝手に紹介させていただきます．

今回紹介させていただく論文はコチラです．

Wash your hands, Brother John! 

BMJ. 2019 Dec 16;367:l6050. doi: 10.1136/bmj.l6050.

Wash your hands, Brother John!

歌いながら手を洗おう！というものです．

手を洗おう！

手を洗う意味

病院で仕事をしていれば，そうでなくても，手洗いの大切さはわかりますよね．

その基本となっているのは，WHOのものになります．

一度は見たことのある，あの絵があります．

WHO | World Health Organization

手洗いの方法

自動水栓の場合はよいかもしれませんが，そうでない場合はペーパーを使って，

というものが書かれていますが，これやっている人，ほとんど見たことないです．

 正しい流水と石けんによる手洗いの方法です．

アルコール性手指消毒薬も，随分家庭でも使えるようになりましたが，

流水と石けんは基本ですよね．

タイミング

手洗いするタイミングは，いろいろなマニュアルの中に

入っているのではないでしょうか？

当施設でもICTの巡視の際に，タイミングと手洗い方法は

重要な確認事項となっています．

患者さんに直接触れることがない職種であっても，

薬剤の調製時なども含めて，手を洗うタイミングを

意識することはとても大切です．

病院も含め，忙しい大人たちは，つい抜けてしまいがちですよね．もちろん意識すれば，大丈夫なのですが．

なかなか手洗いしないー

特に○○―

という光景は，いろいろなところで繰り広げられているかと思います．

○○の中にはいろいろな単語が入りますね．

当施設のICTラウンドはこのような状況です．

ヒトーヒト感染，接触感染する微生物の伝播を防ぐためには，

移ってしまってから治療するより，

移さないようにすることが最も大切なわけで，

その要となっているのが手洗いです．

肉眼的な汚れがなければ，アルコールがその利便性から推奨されています．

このガイドラインが出た時は衝撃的でしたね．

さて，病院も含め，医療機関で手洗いの対象となるのは，

基本的には医療スタッフであるわけです．

現在では患者さんの自らも身を守っていただくという観点からも，

積極的な手洗いが様々なところで推奨されています．

お見舞いの方も含めて，手洗いを医療機関でする，ということは，

本邦においても標準的になっているかと思います．

でも，ですが，

小さいころから手洗いの慣習を，強く認識できている大人は，果たしてどのくらいいるのでしょうか？

私の小さい頃は

「おしっこしたけど，チ〇チ〇さわらなかったから，手洗わねー」

「俺なんかチ〇チ〇どころかズボンも半開きでできるぞー」

「ちょっとさわったほうが遠くに飛ぶぞー」

などと，後半はちょっと脱線しすぎましたが

トイレの時ですら，手を洗わない子もいました．

それが汚いとか，あまり気にしたこともなく，

手洗いの習慣がなかったのかもしれません．

「少しくらい汚いもの食べたって，死にはしない」

「おしっこは無菌だから…」

という大人もいた気がします．今もそうかもしれませんが．

本日，トイレに行った際，男子トイレは本当にカオスですね．

今の時代でも．

・用を足した後，何事もなく手を洗わず出ていく紳士(結構見かけます)

・2-3人くらいで楽しそうにトイレで用を足した後，手洗いの場所が高くて，ほとんど洗ったかどうかわからないで，そのまま楽しそうに追いかけっこをしながら出ていく幼稚園児

などなど，まだまだ日本のトイレ事情（男子トイレだけかもしれませんが）は，

衛生的とは言えない現状です．

今回の対象は

大人は，既にそのように育ってきてしまっていて，

今の日本の衛生状況であれば，一度手を洗わなかっただけで

致死的なことになることはまれかと思いますので，

この際は，未来ある子供たちに懸けましょう．

今回のクリスマスBMJは，前置きが長くなりましたが，

子供たちが楽しく歌を歌いながら手を洗う，ということを紹介した論文です．

上記BMJの内容ですが

・WHOの推奨する手洗いのテクニックは，手洗いのために重要ですが，その学習と記憶は障害になる

・適切な学習と記憶のために，フレールジャックの歌に基づいて手を洗ってみる

という内容です．

動画もあるので見てみました．短いですが，おそらく

「グーチョキパーでなにつくろう？」の歌かと思います．

間違ってたらごめんなさい．

子供たちが楽しそうに，手を洗っている動画を見ることができます．

 本文中には，

・ポピュラーな歌に合わせて手指衛生のプロセスを学ぶと，楽しく学ぶことができる

・注意力，記憶力が発達する

・各ステップの終了前に歌詞を見ると，速やかにスキルが習得できる

 とあります．

6段階の手洗い方法に歌詞をつけて，

楽しく歌いながら手を洗う．

これ以上の学習効果はないですよね．

子供たちはいろいろな刺激に敏感で，楽しく覚えることが

最も優れた学習方法の一つなのでしょう．

この歌を歌いながら，手洗い前後で，

ブラックライトを用いた手洗いの効果も出ています．

しっかり洗えていることがわかる結果になっています．

未来ある子供たちをバイキンたちから守る

この替え歌は，就学前の子供たちに，約20秒の手洗い方法を効果的に

教えることができるとされています．

誰が何を言っても，手がうまく洗えない大人たち(自分も含む)

子供たちに見習って，

一緒に歌いながら手を洗う日がやってくるのかもしれません．

習慣づけること．

これはとても大切なことなのでしょう．

だって，そんなことしっかり教えてもらってないし，

というような大人は放っておいて

できるところから一歩ずつ，ということでしょうか．

大人は子供を守る責務もあります．

そして，子供たちの未来を守るためにも，

子供たちが手を洗うことに躊躇するような大人にならないためにも，

このような取り組みは根付いてくれれば，と願っています．

日本国内でも…

感染症の専門医の中でも取り分け人気の高い先生の一人，

東北大学の賀来先生の施設でも，

以前より子供向けの手洗い教室などが開催されていると，紹介されています．

オリジナル手洗いうた「おててテトテト」をつくりました | 東北大学病院

東日本震災の際も，それ以前から，様々な地域ネットワークを

構築している東北地域の取り組みですが，

このような取り組みが，国内でも普通に，

むしろ義務教育の前から行われていることは，素晴らしいことです．

「おててテトテト」という歌で行われているようです．

ユニセフでも，世界手洗いの日についての情報や，

こちらでも動画(世界手洗いダンス)というもので，紹介されています．

資料・教材ダウンロード｜「世界手洗いの日」プロジェクト|日本ユニセフ協会

動画を見てみましたが，なんだかホッとします．

疲れているんでしょうか，私．

手をつなげる人がいるというのも，素敵ですよね．

未来ある子供達には，ぜひ手洗いが習慣に，

普通に行えるような教育，

習慣づけを教育者の方にお願いしたいと思います．

そして，手を洗っていない大人が，

子供たちに指摘されるような未来が

来るかもしれません．

その時に乗り遅れないように，正しい手洗い方法と，

タイミングをもう一度確認しておきたいと思います．

楽しみながら行う，習慣づける．

子どもたちは，楽しむことに関しては天才です．

どんな些細なことでも，楽しく，

感受性豊かにうれしさを表現してくれます．

そしてそれに乗り遅れてしまうのは，大人たちです．

子供たちに負けず，楽しみながら手を洗うこと，

これができる大人は，そう多くはいないのではないでしょうか．

冬季感染症が流行する季節に入りました．

くれぐれも体調管理には配慮をしながら，

感染管理の基本中の基本を，忘れないように心がけたいですね．

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