病院薬剤師のブログ

徒然なるままに。少しづつ勉強していきましょう。

フォーミュラリーを考える2

これからの医療に,どのような影響を与えるのでしょうか.まとめてみると,薬局薬剤師,病院薬剤師の未来に大きくかかわるような内容なのではないかと感じました.

 

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薬と地域

 

 

今回少し話題が出ておりました. 

以前一度書いたのですが,少しボリュームもありますので,別に書いてみました.

 

以前の記事はコチラ↓ 

www.riquartette.tokyo

 

 

 

 

フォーミュラリーの診療報酬上の評価についての議論

ここ数日,フォーミュラリーの話題がミクスでありました.

少し追記します.

 

中医協 次期改定の検討項目「フォーミュラリー」で議論開始 「地域」波及が焦点に

中医協 次期改定の検討項目「フォーミュラリー」で議論開始 「地域」波及が焦点に | ニュース | ミクスOnline

 

 

 

中医協総会 フォーミュラリーの有用性に各側が理解 リスト作成の報酬評価は慎重 医師・薬剤師の職能発揮で要件設定も

中医協総会 フォーミュラリーの有用性に各側が理解 リスト作成の報酬評価は慎重 医師・薬剤師の職能発揮で要件設定も | ニュース | ミクスOnline

 

中医協総会で2019年6月26日,フォーミュラリーの診療報酬上の評価についての議論がなされています.

議事次第,資料が下記で確認できます.

中央社会保険医療協議会 総会(第417回) 議事次第

 

医薬品・医療機器の効率的かつ有効・安全な使用等について

PDF 総-4-1(PDF:10,879KB)

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000522373.pdf

 

もしくは一番下の会議資料全体版

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000522374.pdf

 

右下の57ページからがフォーミュラリーの資料です.

 

抗菌薬関連の加算が現在算定可能ですが,下記

小児抗菌薬適正使用支援加算

抗菌薬適正使用支援加算

についての有用性も報告されつつあります.

診療報酬上の加算がつくと,やはり大きく進むのが現状です.こ

れからの方向性を考えると,フォーミュラリーの診療上の評価が話し合われているのは,大きな前進かと思います.

 

資料は3つの取り組みが紹介されています.

①浜松医大,②聖マリアンナ医大は院内フォーミュラリーとして紹介されています.

③地域医療連携推進法人・日本海ヘルスケアネット(山形県酒田市)は,地域フォーミュラリーとして紹介されています.

 

少し特徴をまとめてみましょう.

 

①浜松医大の院内フォーミュラリー

○ 浜松医科大学医学部附属病院では経済性のみではなく、採用薬の治療効果や注意事項を事前に評価しておくことなどにより、質と安全性の高い薬物治療を行うために院内フォーミュラリーを作成。

○ 院内フォーミュラリーの作成は関連する院内部門・委員会、診療科及び薬剤部が連携して行っている。

 

 

とされています.この資料にあるように,フォーミュラリーは,厳密な定義がなされているわけではないですが,

我が国でのフォーミュラリ-の厳密な定義はないが、一般的には、「医療機関等において医学的妥当性や経済性等を踏まえて作成された医薬品の使用方針」を意味するものとして用いられている。

 

とあるように,院内フォーミュラリーとしては最もその定義に沿ったものといえるでしょう.

さすが,超有名な薬剤部長の存在感があふれている内容ですね.しっかりここに薬剤師が関わっていることが読み取れます.

 

実際の手順としては,同種同効薬がある場合,フォーミュラリーの案を作成,

診療科と協議し,薬剤部が原案作成,薬剤管理委員会(医薬品の審議委員会のようなものでしょうか?)に上程,

承諾後,院内周知,活用となっています.

 

気になる部分は,その作成と,文献評価や経済効果の評価方法でしょうか.

実際できたものを,どのように用いていくかも気になりますが,

ここでは処方提案,医師からの問い合わせ時に利用,となっています.

 

しっかり事前に資料を作成し,経済性だけではなく,

高い質と安全性を担保した薬物療法を実施していく,

まさに今最も求められていることが,

このフォーミュラリーを作成することで成し遂げられることを意味しています.

 

院内フォーミュラリーの一つとして,インフルエンザ薬のフローが紹介されています.

急いで作成したのでしょうか,資料は抗インフルエンザウイスル薬 になっていますが.

 

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インフル薬

患者背景(透析患者さんや妊婦さんなど),

経口可能かの判断,吸入の可否などを層別化して選択できる内容になっています.

 

当施設はゾフルーザが採用になっておりませんので,そもそも処方はないのですが,

こちらの資料でもゾフルーザは赤字になっております.

その位置づけは,重症ではなく腸管吸収も保てていて,内服可能な方に対する第2選択という位置づけです.

このような方が浜松医大病院に入院しているとは思えないのですが,

新しい薬剤の位置づけというのはどうしても低くなるでしょうし,

やはり販売後の安全性も含めた情報の蓄積が必要でしょう.

 

通常,このようなフローの作成などは医師(もしくは診療科)が行うことで,

そこには医師のみに与えられた,診断と治療の判断が含まれているものになるかと思います.

インフルエンザのみを診察している医師はいないわけで,

全ての医師が診察するであろう,このような疾患を分かりやすく病院内の取り決めとして作成することは,その際に経験のない若い医師でも,

適切な治療が行える目安になる,有用なものであると考えられます.

本来この部分を担うのはガイドラインなどかもしれません.

 

施設によって,ガイドライン通りのような治療ばかりができるとも限りませんので,

施設内でこのようなものを作成するのは有用でしょう.

そこに薬剤が掲載されることになるので,病院として偏った処方にはならないというメリットもあるでしょう(みんなゾフルーザという処方とか).

インフルエンザの薬は現在5種類ですが,それをどのように使い分けるのか分からないという声も聞きます.

 

以前自分がインフルエンザに罹患した時,かかった医師から,

冗談気味で『薬剤師なんだから好きな薬はありますか?』などと聞かれました.

 

慣れた薬を使用するというのが,医師が処方する際に,最も安心できる状況なのではないでしょうか.

それゆえその医師の処方に関わることを,このような決め事で,というのには様々な意見があるでしょう.

 

医師とフォーミュラリーについて話したことがあります.

その際に言われた事ですが,

『自分がよく知っていて,専門の薬剤は,フォーミュラリーなどあろうがなかろうが,ガイドラインを中心とした標準治療を行うので,あまり意味はなさないと思う.ただ,経験のない治療には有用かもしれない』

 

これは経験がある医師の,率直な意見なのではないかと感じました.

 

病棟で不眠やせん妄など,感染に関する(特殊な感染),痛みなど,薬剤が関連する事象は多く発生しますが,その専門家はそう多くありません.

当施設でもその専門医はいませんし,薬剤師が相談されるケースも多いです.

 

そういった際に,病院でのフォーミュラリーのようなものがあると役立つのではないかと感じています.

 

そこに経済性を加味すれば,それはよりよい治療を行うために有用なツールとなりえると考えられます.

 

②聖マリアンナ医大の院内フォーミュラリー

こちらの施設も,薬剤部長が強力に進められていたイメージです.

目的の部分は,

重症例や難治症例に対しての有用な新薬を使用できる環境を維持するため、既存治療のある薬剤は費用対効果を重視。

  

となっております.国公立病院との違いが少し出ています.

高額な医薬品が発売されてくる中,それを使用できるように,

既存の薬剤は費用対効果を検討して整理していくという方法は,

これからの病院経営上,必要な考え方かと思います.

 

経済性だけではないというのも最もですが,

こちらの方も現実的な意見として分かる部分が多いです.

当施設でも医薬品費の問題は薬剤検討委員会でも必ず話題にあがりますし,

医療材料もそうですが,病院の経営に大きく影響しているものと考えます.

 

作成方法などは先ほどの浜松医大と同様で,構成員には薬剤師も入っています.

聖マリアンナはさすが,というか,病棟薬剤師も入っています.これはスゴイ.

有効性と安全性の評価を行い,薬事委員会に上程,周知するという形です.

 

61ページに院内フォーミュラリーの薬効ごとの選択薬が記載されています.

後発品があるものが第一選択薬に入っている印象です.

 

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聖マリ薬剤

PPIではエソメプラゾールは顆粒が第2選択になっています.第1選択はオメプラゾール,ランソプラゾール,ラベプラゾールが同格ですべて後発品となっています.

 

こちらの施設は後発品導入がかなり早い,という事もうかがっています.

英国での勤務経験のある薬剤師がNICEなどのお話し,フォーミュラリーの講演をされたのを拝聴したことがあります.

英国で行っている文献の比較など,当時聞いた際もかなりのインパクトで,

こんなことができる薬剤師がこの世にいるのか,とかなりショックを受けたのを,

今でも覚えています.

 

病棟薬剤師もかなり優秀な方が多く,色々な公演をお聞きすることが多いですが,

人材が豊富なのでしょう.

病棟薬剤師に,フォーミュラリーの会議に参加してくれと言って,

参加できるような人の方が少ないのではないかと感じています.

 

薬剤師の人材育成も素晴らしいのでしょう.

 

私たちの施設でも,なんちゃってフォーミュラリーのようなものを

考えたことがありましたが,やはりその公平な評価のところで詰まりました.

ガイドラインなどで,ある程度推奨が決まっているものなどは,行いやすいのですが.

ただ,あくまでもそれも院内のルールで,経営的な部分を優先しようとしたもので,

かなり強引でした.

それを粛々と進めることができる,これらの2施設の病院薬剤部には,

本当に未来を見据えた,知識と希望を持った病院薬剤師が

しっかり存在しているのだと思います.うらやましい限りですね.

 

③地域医療連携推進法人・日本海ヘルスケアネットの地域フォーミュラリー

上記の2施設が病院内のフォーミュラリーであることに対して,

こちらはもう少し大きな規模で行っている地域フォーミュラリーです.

 

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地域フォーミュラリー

上記2つは病院薬剤師が中心であるのに対して,

こちらは地域フォミュラリー検討会には薬剤師会会長,

そして地域フォーミュラリー検討会には,薬局薬剤師が入っています.

 

こちらは実績として下記が挙げられています.

プロトンポンプ阻害薬(PPI)等の薬効群で地域における推奨薬剤リストが作成されている。

日本海総合病院においては、一定の導入効果が出ている。

  

プロトンポンプ阻害薬 として挙げられているのは下記の3品目です.

ランソプラゾール

ラベプラゾール

オメプラゾール

 

聖マリ病院と同様となっています.

その他αGI,ビスフォスフォネートも同様です.スタチンは少し異なっています.

見比べてみるのもいいかもしれません.

そして公開されているものは,同様に推奨しやすい薬剤かと考えられます.

 

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地域フォーミュラリー薬

PPIの処方状況がグラフとなっています.

フォーミュラリーの導入でネキシウムが減少,ランソプラゾールが上昇しているという結果です.

 

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地域フォーミュラリーの効果

日本海総合病院の処方画面が参考として出ています.

処方した際に,地域フォーミュラリー推奨薬ではないことが電子カルテの画面に表示され,推奨薬が表示されるシステムとなっているようです.

 

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処方時のアラート

これは鬱陶しいと,医師からは言われそうなシステムですが,

このようなアラートが海外でも有用という事も報告されています.

やはり処方の際に関わることで,地域の取り組みとして,行っていくことになるのかと思います.

処方せんとして,発行される前のアクションの必要性を感じます.

 

これを見て感じたのですが,

地域には開業医の先生方も多いわけで,その処方までも,

このフォーミュラリーで行うには,難しいのではないかと感じていました.

 

病院では,その大元の経営側や病院長が,取りまとめてくれることで,

このような形態での運用を実施できるかと思います.

実際自分も,保険調剤薬局で,開業の医師に問い合わせする際にも

相当な緊張感があったのを覚えています.

 

この地域フォーミュラリー協議会には,作成員会に加え、

自治体(保険者)、地域の開業医

など,とあり,地域フォーミュラリー(案)について審議する,となっています.

 

地域の医療には,当然ですが,その多くを担う地域の開業医の先生方の協力が

得られなければ,このような取り組みなどは不可能でしょう.

 

現在耐性菌の問題から,AMR対策も話題にあがることが多いですが,

そこでも地域の開業医の連携の必要性が挙げられています.

上記①②の病院で,診察を受け続けられる方の方が少ないわけで,

必ず開業医の先生へ,病院から逆紹介という形で患者さんは地域に戻っていきます.

 

その際のフォーミュラリーが,形だけにならないためには,

やはり行政の協力,地域の開業医の先生方の協力が得られなければ,達成できないでしょう.

そしてその調剤を行う,自信をもってフォーミュラリーを推進していくという志を持った薬局薬剤師がいなくてはいけないと私は思うのです.

 

この取り組みを拝見すると,フォーミュラリーは病院の中,

小さなコミュニティでの取り組みと,地域全体の大きく2つにその特徴が分かれていますが,その後ろにある,目指すべきところは同じなのでしょう.

 

地域フォーミュラリーの地域への影響,というかたちでまとめられています.

 

<患者への影響と可能性>

漫然投与や重複,ポリファーマシーの削減,医療費削減

<医療機関への影響と可能性>

紹介,逆紹介時の使用品目が収束,在庫も絞られる

<薬局への影響と可能性>

病院薬剤師と薬局薬剤師の連携が,さらに密になる.

服薬指導、患者管理が効率化など

 

の3つが示されています.

患者さん,医療機関への影響というのはイメージがつきやすいのですが

薬局への影響というものがありました.

そしてその一番上に書かれていたのが

病院薬剤師と薬局薬剤師の連携が,さらに密になる,という文章です.

 

わたしは,個人的な意見ですが,薬局薬剤師も,病院薬剤師も,

お互いを尊重すべきだと考えています.

それぞれの立場と職能があるからです.

どちらが偉いだの給与がどうだの,そんな話でお互いの事を

けなしあっているのは見るに堪えません.

議論の無駄です.

最近,日薬の方の発現もあり,私の施設でも給料の問題など,色々と話が出ました.

 

以前から書いていますが,

薬剤師はもはや,その職能までもが問われる時代になっているわけで,お互いの足を引っ張っている状況ではないのです.

 

山形県酒田市には行ったことがないのですが,

こちらの地域の薬剤師は,薬局,病院関わらす,未来の同じ方向を向いているのでしょう.

 

院内調剤にしてしまえば,そのある小さな一定の地域は,

フォーミュラリーの恩恵を受けるでしょうが,

これは,そんなところで止まってしまってはいけないもの,

ではないかと私は考えています.

 

個人的に気になるところ

 

どうやって選定しているのか

フォーミュラリーの選定のための,委員会や評価方法は,とても気になります.

オープンにしてもらいたいという気持ちもあります.

それが様々な病院,地域で使用できれば,とも感じます.

 

しかしながら,考える事をやめてしまうのは一番危険なことですし,

製薬メーカーの方がそれを手に入れてしまったりしたら,

それをプロモーションに使用するなど,

余計なことなどを考えてしまったりします.

 

明確にすべきではありますが,

それはその決める方たちで担保できれば良いのかもしれません.

本来それを主導すべきは行政なのかもしれません.

 

65ページには評価基準を点数化している資料が例示されています.

これは選定した薬剤をどのメーカーにするのか,というところになると思いますが,

後発品を選択する基準,というのも大切かと思います.

 

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後発評価

 

最近の後発品を含む原薬の供給状況.この中でも原薬の記載があります.

複数企業での生産ラインを持っていることが,高い評価対象になっているのはその通りでしょう.

流通が安定しそうだからこのメーカーでいいや,というわけにはいかないですし.

このような所で活躍するのは,薬局薬剤師の方でしょう.

 

病院は原則後発品は一銘柄で,関連の連携病院などがある場合は,

本部で決められてくる場合も多いため,

あまり後発品の銘柄にたくさん触れることはないのが現状だからです.

 

ただ,ここを明確にオープンにしてしまうと,

後発品メーカーさんから色々と聞かれそうですし,変な力が働きそうな気がします.

その地域の製薬会社があれば,そういったところを採用するなどできると,

地域活性化につながるかもしれません.

 

更新やメンテナンスは…

そしてこのフォーミュラリー,新しい薬剤が上市された場合,

それに応じて変更するのもそうですが,見直しも相当大変でしょう.

 

論文も,どのような評価基準で行うかなどは難しいかと思います.

プラセボとの比較はあるとしても,Head to Headの論文はあまりないでしょうし,

定期的にそれを調査するといううことが必要になってきます.

これからはこの部分はAIが担ってくれるのかもしれませんが.

実際どのような頻度で見直し,修正をしているのかも気になります.

 

臨床的な評価は

様々な文献,科学的根拠を基に薬剤選択,推奨となっていることは理解できますが,

今回の最も大切な部分として,

その効果と安全性の担保,というのを

どうにかして結果として示せなければ,

フォーミュラリーの根底が揺らいでしまう気がします.

 

現在導入された地域や病院で,それを評価する取り組みがこれから動いてくるでしょう.

医療費の削減は今直面している大きな問題の一つですが,

治療に関わっている事を忘れてはいけないと思いますし,

本来はそこが最も大切な部分になります.

結果あっての取り組みとなるべきですし,

有効性,安全性が,実際フォーミュラリーを導入,

推奨した時にどうだったのか,という事をしっかり確認していく,

確認し続けていく必要があると感じています.

 

まだまだかかりそうな意見も…

ミクスの記事では,

「以前に比べると病院薬剤師が医薬品情報を整理して採用会議に臨んでいる場合も増えていることは非常に好ましい」という見解と同時に

「フォーミュラリーについて診療報酬で対応することはないという理解でいいか」

とされています.

 

まだまだ診療報酬での評価とはならないような記事でした.

 

そしてこの記事には,薬剤師,という言葉が何回か登場しています.

これからの薬剤師の業務として,欠かすことのできない一つになるのではないかと

私は感じました.

 

調剤薬局の動きも

2019/06/28追記 

 

https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=67704

日本調剤 標準フォーミュラリをオープンソース化 地域版への展開で保険者・地域薬剤師会をサポート | ニュース | ミクスOnline

 

これらの報道と同じように,日本調剤の動きも特集されていました.

さすが,動きが速いですね.

 

下記の内容を見ると,年間最大13億円と試算されています.

私も友人と話していた時に,まず真っ先に出たのが,

『さすが日本調剤だねー』という言葉でした.

この資料はまず上記のような静岡県内での削減効果を,

具体的に金額として出しています.

今の医療費の問題を考えると,これも納得できます.

https://www.nicho.co.jp/corporate/newsrelease/20190611_nr1/

 

中医協でのお話しで,医師よりあまり良い言われ方をしていなかったのも,

まず金額のところからがでたからかもしれません.

 

フォーミュラリは金額もそうですが,それ以外も大切なことがあります.

 

ミクスの

日本調剤 標準フォーミュラリをオープンソース化 地域版への展開で保険者・地域薬剤師会をサポート | ニュース | ミクスOnline

の記事では,もう少し詳細にあります.

 

外部委員で構成する第三者委員会で標準フォーミュラリを作成,中立性を担保するのが特徴,とされています.

 

日本調剤という大きな薬局が,経済的な部分のみを重視して,

というようにとらえがちな内容ですが,

これを読むと,そうではないことが読み取れます.

 

様々な資料を吟味し,高度なDI機能も持つ部分を目指す,

という事で,これもとても将来が楽しみな記事となっています.

中立性の担保というところで,外部委員を含む取り組みが紹介されています.

 

これからの動きの中で,最も力強く,

様々なことを考えながら進めているという事が伝わってきます.

 

フォーミュラリーは,個人でできるようなものではないですし,

しっかり組織立てて行う必要があると考えているのですが,

そういった意味ではこの内容はそれと合致している部分が非常に多いです.

 

オープンソース化することも検討されているようで,

これはうまく進むと,全国に広まる予感がします.

そして,地域のフォーミュラリーを調剤薬局が主体となって動き始めている,

という事は,ぜひ応援したい内容です.

 

 

薬剤師会に入らない,などと言っているお話しをよくお聞きしますが,

もはやそんなことを言っている場合ではないという感じがします.

今,動き始めています.

 

なんとも頼もしい動きです.

 

そして上記と同様に,経済的な部分だけではない評価や,

その地域だけにとどまらないような,

広く普及できるようなシステムづくり,

今後の標準になるようなシステムづくりに期待したいです.

 

 

最後に

日本の医療費は右肩上がりで,その中で占める医薬品費の割合も上昇し続けています.

後発医薬品を使用するのは,もはや保険が破綻しないためにも必要でしょうし,

色々な銘柄,医薬品が使用されることによる,

開封後使用されなかったデッドストック,

医薬品の廃棄の問題などもあります.

 

同資料70ページに,後発医薬品を調剤しにくい医薬品が挙げられています.

剤形では内服,注射より圧倒的に外用薬が挙げられておりますし,

薬効では,精神神経用剤,悪性腫瘍剤,催眠鎮静剤,抗不安剤が挙げられています.

 

こういった薬剤を新規で処方する際など,

フォーミュラリーが活用できると考えられます.

施設で,地域で使用できる,中心になる医薬品を決めていく.

地域として動く.そうなっていくのではないでしょうか.

 

これからも関連する報道を確認していきたいと思います.

数年後には,これが当たり前のように行われる時代になることを願っています.