病院薬剤師のブログ

徒然なるままに。少しづつ勉強していきましょう。

DPC病院の色々な状況が分かる?厚労省の資料を眺めてみる

平成29年度DPC導入病院の資料が,厚生労働省より出ています.

最近統計の話題が出ていますが,少し眺めてみると色々なものが見えてきます.

薬に限ったところだけですが,少しご紹介したいと思います.

 

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データ

こちらが資料です.

平成28年度DPC導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」の結果報告について

 

中医協でまとめられたようで,上記リンクに概要があります.

 

 

本調査の概要

下記の通りになります.

 DPC病院の色々なデータが分かります.

 

<概要>

○  平成 29 年度に実施された DPC 導入の影響評価に関する調査「退院患者調査」

についてとりまとめを行った。

○  平成 25 年 12 月 13 日中医協総会で報告を行った通り、下記の観点で集計を行

った。

「定例報告に係る集計方法」

  1. 集計の際の施設類型の考え方

・「DPC 対象病院(Ⅰ群・Ⅱ群・Ⅲ群別)・DPC 準備病院・その他の病院別」

2.集計項目

・在院日数

・病床利用率

・救急車による搬送(率・1施設あたり患者数)

・救急医療入院(率・患者数)

・他院からの紹介

・退院時転帰

・入院経路

・退院先の状況

・再入院種別

・再転棟種別

 

 

背景

背景は下記となっています.DPC導入の影響を確認することから調査したという事です.

○  DPC 導入の影響評価等を行うことを目的として、診断群分類の妥当性の検証及び診

療内容の変化等を評価するため、平成 29 年 4 月から平成 30 年 3 月までの退院患者

について調査を行った。

 

 

方法

下記の通りの方法でデータが収集されています.

 

○  目的と方法

・  平成 25 年 12 月 13 日中医協総会への報告に基づき、モニタリング項目(定例

報告)について集計している。

・  平成 29 年度(平成 29 年 4 月~平成 30 年 3 月)における DPC 包括払いの対象

となる病棟の退院患者(約 1300 万件)のうち、包括払いの対象とならない病

棟への移動があった患者等を除外したデータ(約 1100 万件)を分析の対象と

している。

・  経年比較のため平成 25 年度から平成 29 年度分データを集計している。

 

 

実に全国3700を超える病院の資料となっています.

 

多くの資料が…

実に多くの資料があります.とても確認しきれないのですが,

在院日数

救急車による搬送

他院よりの紹介の有無

・・・

化学療法のレジメン(腫瘍ごとの使用レジメンの件数などもあります)

疾患手術別集計

 

などなど,スゴイ量の資料になります.

 

私が気になったのは

個人的なものですみません,薬剤師として気になったものは

下の方の資料の,

(3)後発医薬品の使用状況

(4)特定抗菌薬の使用状況

です.これをエクセルファイルで閲覧することができます.

 

とても興味深い資料です.

 

後発医薬品の使用状況

 

こちらは上記の通り,3700を超える病院の,一般病棟における後発品の使用割合が掲載されています.

病院勤務の薬剤師の方,もしくは近隣の薬局の方,病院の後発医薬品の使用割合が分かります.

結構スゴイ資料です.割合が掲載されていない施設もありますが,いつも参考にしているあの病院や,近隣のその病院,そして自施設の状況が分かります.

 

248施設の使用状況が分からないですが,残り約3400施設(0%-100%)の資料を見てみますと,

平均は74.60%,中央値は81.77%でした.

 

後発品の導入は,病院では思っている以上に進んでいるという印象でした.いかがでしょうか?

 

ちなみに,大学病院を含む,比較的大きな病院でみますと,

 

日本大学病院

茨城県立中央病院

杏林大学医学部付属病院

旭川医科大学病院

山梨県立中央病院

 

はいずれも94%を超えています.

これはスゴイ数字だと思います.相当後発品の導入が進んでいますが

発売と同時くらいに採用となっているのでしょうか.

 

私学だけではなく公立病院でも,後発品導入は進んでいるのが分かります.

 

特定抗菌薬の使用状況

 

これも見られるとは思いませんでした.

 

病院内の感染対策でキーワードとなる,カルバペネム系抗菌薬

下記5品目が国内では発売されています.

 

若干使い分けなど,特徴を見極めて使用している施設もあるかと思いますが

これほどいらない,使い分けられない,という意見もあります.

専門医でなければ,これだけのラインナップは不要と感じていますが.

 

 

イミペネム水和物・シラスタチンナトリウム

メロペネム水和物

ビアペネム

ドリペネム水和物

パニペネム・ベタミプロン

 

この薬剤の使用量AUDが分かります.

これも結構スゴイ情報かと思います.もしかしたら自施設で集計していない施設も含まれているかもしれません.

 

多い,少ないでもちろん評価できるものではありません.

少し眺めてみます.

 

65歳以上の一般またはその他の病棟を含む,AUDを見てみます.

な・ん・と

この施設は,上記と同様の施設規模で,AUDが少ない施設です.

数字は,本当にびっくりしますが,いずれも5を切っています.

すごすぎます.一桁違っているのでは?と見返しました.

 

佐賀大学医学部附属病院

医療法人鉄蕉会 亀田総合病院

静岡県立静岡がんセンター

岐阜県総合医療センター

大阪市立総合医療センター

 

 

これらの施設は,いずれもしっかりとした感染症科の医師が存在している施設です.

う.うらやましい…です.

 

佐賀大学は,AMRでは最も進んだ施設の一つかと思います.薬剤部の先生も熱いです!!

 

 

 

 

 

以前お聞きした時も,こんなもんですよ,とおっしゃっていましたが

改めて数字を見ると,佐賀大学にはカルバペネムを使うような感染症は非常に少ない,というのがお分かりになるかと思います.

30を超える施設もある中のこの数字,同じ日本とは思えません.

 

ただ,この数字は,あくまで診療科,患者さんの状況などに左右されるので,多いことが悪い,少ないことがよい,という判断は,一概にはできません.

 

そして,カルバペネム系抗菌薬のみの資料なので,第4セフェムやキノロン,抗MRSA薬などの情報も気になります.

 

何度も言いますが,この数字が全てではありません.

そうはいっても,抗菌薬の使用量やAST活動をされている施設の方は,改めてその数字に驚かされることと思います.自施設と比べると,努力が必要と感じました.

 

 

以上より,他にもまだたくさんの資料があります.

見方によっては,とても貴重な資料となるでしょう.

 

他にも興味ある部分を,確認してみて下さい.