病院薬剤師のブログ

徒然なるままに。少しづつ勉強していきましょう。

激務のサンタクロースの健康を考えてみよう!

サンタクロースともなると,我々一般人が想像する以上の激務であることは,想像に難くありません.

そして,純粋無垢な子供たちから,いただく素敵なプレゼントも,もちろん夢を壊さないように,残さずいただくでしょう.そんな素敵なサンタクロースの健康を考えてみた論文を読んでみました.夢のあるような,現実的なような.

サンタクロースへの愛を感じる論文です.それではご紹介いたします.

 

クリスマスイブに,サンタクロースはどのくらいのカロリーを消費するのでしょうか?

Wien Klin Wochenschr. 2018 Jan;130(1-2):73-75.
How many calories did Santa Claus consume on Christmas Eve?
PMID: 29313101

f:id:RIQuartette:20181220223037j:plain


クリスマスイブの夜,北米の多くの家庭で,サンタクロースのためのクッキーとミルクを準備しています.その一方で,過度のカロリー摂取を避ける事は,健康なライフスタイルを保つこととして強調されてきています.

北米地域を,サンタクロースが訪れた際,子供たちが準備してくれたクッキーを残さず食べ,ミルクも飲まれると思います.この筆者らは,その際にどれだけカロリーを消費したか,というところに興味が出て調査したとの事です.

確かに気になりますね.窓際に置いておいたクッキーが,プレゼントと交換というわけではないですが,来ていただいた証として,翌日起きたときになくなっている.
サンタさんは確かに我が家にも来たんだ,という確証ですよね.

 

私が幼いころには,サンタさんが相当急いでいたのでしょうか,飲み物は残さず飲まれていましたが,お菓子(何を置いておいたかは不明)は食べかけでした.

もしかしたらオシャレなクッキーではなく,うまい棒とかだったかもしれません.
今みたいに大人買いもできず,数ある中から,ちょっと苦手な味(辛めのやつ)をこそっと.

 

 

たこ焼き味が口に合わなかったのかな?とか考えていたことを思い出しました.


もうちょっと甘い,いかにもサンタクロースが食べそうなクッキーにしておけばよかったと記憶がよみがえってきました.誰もが1つは持っている,素敵な思い出ですよね.

 

論文に戻ります.

 

サンタクロースによるカロリーの消費とインターネット・メディア・グループによって公表されているパラメータがいくつか示されています.

米国人以外もそうなのかもしれませんが,こういう調査って楽しそうです.

 

米国には約1億世帯ありますが,76%がクリスチャンで,15%に子供がいて,10%の家庭がクッキーを準備するであろう,といったような情報がいくつかまとめられています.

キリスト教徒以外はクッキーの準備しないのかな,とか余計なことは考えてはいけません.

私もキリスト教徒ではないですが,米国に住んでいたら,うまい棒を準備したので,きっとこの10%に入っていたのではないかと推測されます.

 

様々な報告がありますが,どれぐらいキリスト教徒がいて,クッキーをどの程度準備するのか,どのくらいのカロリーのミルクやクッキーなのかというのが,いろいろなところから引用されたものが表になっています.

 

米国の調査では,米国の世帯数が約1億世帯,その中で18歳未満の子供がいる家庭が
31%(3600万世帯),子供のいる家庭の49%がサンタクロースの準備をするという報告もあるため,約1810万世帯になります.


一方で子供がいない世帯でも22%がサンタクロースの準備をしているという報告から,約1800万世帯が準備をしているという事になるようです.

 

ですので,米国では,3610万世帯の家庭で,サンタクロース様をクッキーとミルクを準備して待っているという事になります.

 

スゴ過ぎますね,サンタクロース.TwitterとかFacebookしてたら,3610万フォローですよ.想像できないですよね.


クリスマスを楽しみにしている方が,こんなにも多くいる,なんだか素敵ですよね.

 

さて,米国の各家庭,サンタクロース様の来宅に備えて,どのような準備をされているのでしょうか?

 

 

 

 

本論文では,3つのクッキー,1つが50-100カロリー,8オンスのミルク(約135カロリー)とされると,少なくとも1家庭当たりで275カロリーをごちそうになることになります.

 

おなか一杯でも,きっとサンタクロースは夢を壊してはいけないので,残さない前提で計算されています.

ほんとに,よくまぁこんなことを考えますよね.米国人のサンタクロースへの感謝と尊敬の念が感じられます.

 

さて,サンタクロースは,米国の住人たち3600万世帯が,楽しみに準備してくれているクッキーとミルクを残さずいただきますが,そうすると

275カロリー×3600万世帯=約99億カロリーを摂取することになります.

全部摂ろうとすると,クッキーが炭水化物と脂肪からできているので,10%が消化で使用されるため,約89億カロリーを摂取することになるようです.

 

億カロリーなんて初めて聞きました.響きが強すぎて,頭に全然入ってきません.単位間違っているんじゃないですか???

 

サンタクロースへの感謝の気持ちが,思いが強すぎて,とでもいいましょうか,もはや想像を超えたカロリーになっています.

 

寝る前の甘いものは控えよう,とか,そういうレベルではないですね.
カロリーゼロ理論は通用するのでしょうか?ドーナッツだったらカロリーゼロかもしれないし,カステラだったらつぶせばカロリーゼロなので,よかったんですけどね.

 

アメトーークで話題のサンドウィッチマン伊達のカロリーゼロ理論がおもしろすぎる - NAVER まとめ

 

サンタクロースの総エネルギー消費量を求めます.サンタクロースは結構恰幅の良いイメージですよね.若すぎないのも大切ですよね.

 

60歳男性,身長180cm,体重110kgで計算すると
TEE = 1086−(10.08×年齢)+[1.25×(13.7×体重+416×身長)] = 3301Calories/day

となるようです.

 

ちなみに110kgの芸能人で調べてみると,50歳代ですが,出てきたひとが
ドン・フライ,武藤敬司 のお二人だったので
もはや私の中のサンタクロースのイメージが凄いことになってます!!

なんでもいただけそうなサンタクロースです.

 

さて,サンタクロースは,よい子たちが準備してくれた全部で89億カロリーを消費することになりますが,それは即ちサンタクロースの1日の必要カロリーの270万倍となるようです.

もはやよく分かりませんね.

 

サンタクロースは365日のうち,クリスマスイブがメインで,来年やってきてくれるとして,89億カロリーを1日分ずつ摂っても,必要量の7300倍になるようです.
計算おかしすぎますよね.でもこれ,論文に書いてあります.

 

ただ,ここで疑問があります.サンタクロースの仕事は激務です.

想像してみて下さい,幼いころサンタクロースはどこから来ると習いましたか?

玄関でしょうか?窓からでしょうか?

 

No!違います.違いすぎます.

サンタクロースは煙突と決まっています.大きな袋を背負って,煙突から入ってくるのです. 

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そうすると,結構カロリーを消費しますよね.煙突登るんですよ.途中であきらめたくなることもあるでしょう.しかしサンタクロースはあきらめません.

 

本論文ではそこも考慮されています.
サンタクロースが昇る煙突は,4メートルと推測されています.4メートルですか.

昔は木登りに自信はありましたが,4メートルの煙突は結構厳しいですね.ふつうは登れないんじゃないでしょうか.

 

さらに,その煙突にただ入るわけではありません.ご存知ですよね.

サンタクロースは子供の夢,プレゼントを届けにきているのです.

その重さは全部で160kgくらいです(体重含む,と思います).これは妥当でしょうか.白い風呂敷みたいなつつみにいっぱいに抱えてほしいですよね.サンタクロースはその程度は楽勝なはずです.

 

本論文の試算だと,頑張って4mの煙突を登っても,1.5カロリーの消費にとどまるようです.
ホントですか?そんなもんなのでしょうか?煙突登るのに必要なカロリーは.登ったことがないので想像つきません.

 

まぁ,大丈夫です.落ち着きましょう.全米3600万世帯の家庭がサンタクロースの訪問を楽しみにクッキーとミルクを準備して待っています.


そうすると,約5420万カロリー以上を消費することになるようです.これも大きすぎてよく分かりませんが,とにかくサンタさんはすごい,という事です.


さて,本論文のまとめには,下記のようなことが書かれています.

 

これらの仮定は正確ではないかもしれない.しかしながら莫大なカロリーとなることは明らか.しかし,

サンタクロースは同じような体重で毎年やってくる.

 

その理由は・・・
1.サンタクロースはとても優秀な代謝経路がある
2.重度の吸収不良がある
3.肥満手術をしている
4.安定した体重と見た目の健康は一致しない

5.クリスマスの奇跡だ!

という形でまとめられています.

 

ちょっとサンタクロースが心配です.

定期的に健康診断とかされているのかが気になります.年齢も年齢ですし.

 

さて,個人的な感想ですが(批判的吟味)
①サンタクロースは一人で全部食べてるの?
 やっぱり無理だよね,そんな差し入れ.食べれないときは食べれないし.クッキーが1宅で2枚準備してくれても,7200万枚ですよ.おいておくだけでも大変です.
トナカイと分けて食べてるんじゃないかな?影武者とか.

 

②煙突4m以外のところもたくさんあるよね?もっと消費カロリーがあるのではないかな?
 いやぁ,運送業も大変と聞いておりますが,世界中に届けるわけでしょう,空飛べるから大丈夫なのかな?高層マンションだったらエレベータ使わないと辛いだろうけど,サンタクロースにエレベータで鉢合わせしたら子供は泣くよね.

きっとそんなことしないと思うので,消費エネルギーはもっとすごいんじゃないかな.消費カロリーもクッキーを準備してくれている家庭だけで計算している気がします.サンタクロースはどの家庭にも平等にきますよね.

 

③サンタクロースに対する疑いの目は失礼ではないかと・・・
 重度の吸収障害は,早いところ病院にかかっていただきたいですが,
肥満手術してない?というのはちょっとプライバシーの配慮に欠けますよね.

 

誰もが信じているサンタクロース,クリスマスには元気で活躍していただきたいものですね.

 

こんな論文があるとは知りませんでした.栄養は苦手なので,いつもハリス・ベネディクトの方程式程度しか使ったことがなかったので,勉強になりました.

 

いかがだったでしょうか.クリスマスを楽しめる人は,心が豊かですよね.

 

さて,今年のクリスマス,窓際に,

クッキーとミルクを添えておこうかな,と.