病院薬剤師のブログ

徒然なるままに。少しづつ勉強していきましょう。

MRさんからの情報提供を考えてみる

病院薬剤部にも,MRさんは訪問していただけています.ネグジット総研MMPRというところがまとめてくれた意識調査が下記の記事でよめます.

https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/65761/Default.aspx
18年10月のMR薬局訪問 好印象企業トップはキッセイ薬品 ダメMR「終始,自分の話で終わる」

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2018年10月のMRさんの,薬局薬剤師を対象とした,好印象であった企業や,だめなMRについての内容となっています.ダメMRって,スゴイですね.あまり他の職種の方のダメだしは・・・と思いながら読んでいました.

今回のニュースは薬局薬剤師を対象とした意識調査と言うことで,10月のまとめとして出ています.
今まであまり気に留めたニュースではなかったのですが,こういうアンケートを定期的にやっているのでしょうか?よくわかりませんが,保険薬局薬剤師ではMRよりMSさんが情報提供することが多いと言う印象でしたので,この記事は興味深かったです.

基本的に,MRさんは,新しい薬剤の情報提供,特に情報提供の対象は医師が主だと思いますが,こちらの記事を見ると薬局の方にも積極的に情報提供しているということがわかります.
一般的には製薬企業も営利企業であるために,やはり今一番旬な,最もニーズが高い薬剤についての情報提供を行うことになるのだと思います.

今回の記事では,やはりここ最近の発売されてきた薬,特にキッセイ・杏林製薬のベオーバが承認を取得したところから,その情報提供に対して好印象を持たれているという内容でした.
ベオーバはまだ当施設でも情報提供をしっかり受けているわけではなく,私自身もそれほど理解しているわけではないので,あまり書くことはできないのですが,先行品が禁忌などの記載が多いことなどから,使いやすくなる薬剤であろうことは分かります.こちらのブログの紹介が分かりやすいですね.きれいで見やすいです.
管理人の方はスゴイですね.

新薬雑感:ベオーバ錠 | ぼうそう医薬情報室

やはり新薬については,いろいろな情報がまだよくわからなかったりすることもありますので,臨床試験の状況なども含めて,MRさんからの情報と言うのは重要な情報源になるかと思います.
こちらの薬は,やはり先行品の薬が,少しクセがあるために,比較をすると,安全性などの部分においても,有用性もあり,プロモーションしやすい薬剤かと思われます.

先行品に比べた説明のしやすいさ,という意味では,その後発売されてくる新薬がその部分を解決できていれば,有効なPRができると考えられます.

製薬企業は,その情報提供先は基本的に,専門の処方医となっているかと思います.そこから比べると薬剤師会の情報提供と言うのは少し趣も変わってくるかもしれません.

新しい薬剤はそれだけ力が入れられていますので,良い情報というのはもちろん来るかと思います.しかしながら,色々なところで言われておりますが,新しいものがすべて良いと言う考えではなく,しっかりいただいた情報の中から,それが何の根拠を基にしているのか,といった点をしっかり薬剤師は考えて,情報を整理する必要があるかと思います.

薬学生や新人薬剤師にMRさんからの情報提供を,一緒にヒアリングをしてもらう機会というのがあります.
病院の薬剤部ではそういった部門はおそらく医薬品情報室が担っています.

製薬企業,特にMRさんや学術の方からの情報と言うのは,当たり前ですが,短い間でわかりやすいパンフレットを用いて,その薬剤の有効性,安全性を的確にプレゼンしていただきます.

その資料は,学術の方がしっかりその情報取りまとめ,日本の優秀な製薬企業の情報提供をしっかり伝達してくれると言うことになりますので,そのプレゼン能力も含めて,こちら側が勉強させてもらう要素というものはたくさんあります.本当に勉強になります.

学生さんや,新人薬剤師に伝えているのは,彼らはあくまで製薬会社からの情報と言うことです.そこについてはやはり一線を置いて,薬剤師としてその情報を,どのように自分で受け取り,考えるかと言うところが求められているかと思います.

世の中にいろいろな薬剤がありますが,その薬剤を説明するだけのMRさんというのが存在するとします.もちろん発売する以上は担当者はいるわけで,その地域には少ないかもしれないという問題はありますが.

基本的に,後発品も含めて薬剤には担当者の方というのが設定されており,その資料などを作成しているのは製薬企業であり,そこにその学術的なサポートをし,資料作成している医薬品の情報に特化した方というのが存在しているわけです.

その方が作った情報については,おそらく我々普通の薬剤師が,それ以上の資料作成するということは,まずできることではないでしょう.無理に決まっています.

さらに言うと,医師が的確な情報を求めている際に,製薬企業のMRも含めた情報提供について,その医薬品については,MRさんの情報を上回るような資料,回答を見つけ出せる薬剤師と言うのは,きっとごくわずかか,かなり限られているのではないかと思います.

医師から質問があったときに,全てMRが対応できれば,我々薬剤師はいらないもしれません.

これからは様々なAIが,こういった部分を担っていく時代が来るのかもしれません.それは期待をされている部分かと思います.
ところが,現在は,まだ人と人とが情報のやり取りを行っているわけで,そのパンフレットや文章の中では,分かりづらいようなものを教えてもらうことになります.

感染症領域においては,実は本当に困った時に,どう対応すべきか悩んでしまって,MRさんからの情報をもらい,それが臨床に反映されたこともあります.私もそういった部分で助けてもらう,実際患者さんが治療に成功したこともいくつか経験しています.

MRさんについての印象をどう思うかというのは,個人によるかと思います.その営業のスタイルなどから,また,収入が高額であるといった観点から,MRさん達にあんまり良くない態度を取ったりと言う方も私の周りにもいます.保険薬局の薬剤師より,病院薬剤師の方が横柄ではないかと思います.

しかしながら,いただける情報は,時に自分で調べるよりはるかに情報量が多く,有益性が高いものと言うのも事実です.
いただいた情報を,上手に医療に生かすというのも,大切な仕事なのではないかと感じています.

ただそこには,本当に残念ながら,そのMRさんの人柄といったものも,大きく関わってきてしまっているのも事実です.
いろいろなところで態度が素行不良であったり,そのため薬剤部や医局に立ち入り禁止になった方も何人も見ています.また,薬剤部自体に立入禁止になってしまったり,その結果有益な薬剤が情報提供されず,いつまでたっても薬品の情報が得られず,採用になる動きが見られないといったことも,しばしば起こってしまうのも事実です.

薬剤師は,基本的に大きな病院や大きな薬局であれば,当然なのかもしれませんが,通常の一般的な社会人としてのマナーなどを,本来は受け,社会人として働くことが求められています.
しかしながら,私たちの仕事は,薬剤師という職種であるため,いきなり現場に投入され,4月1日の入社式を終えてから,即現場で働くことが求められるところも非常に多いかと思います.学生の頃はほぼ誰にも注意などされず,好き勝手に生活し,国家試験というものにおびえながら勉強をし,晴れて薬剤師になったら,そのまま就職.
社会のマナーなんて,学んできていないのです.ゴメンナサイ.

そういった意味では,製薬会社のMRさんは,しっかりとした社内研修も受け,それなりの努力,それなりの講習というのを,しっかり受けているということを私たちは認識する必要があるのではないかと考えています.

短い時間で自社製品をPRする,安全性等について的確に回答する,と言う技術は,おそらくそれなりの努力がなければ,ただ営業だけ,と言うことでは到底達することができない職業だと私は考えています.

印象が良いと言う企業等のアンケートもありますが,先ほどありましたように,これは薬剤の強みなどもあるかと思いますので,どこの製薬会社はどうだということを私はここで述べるような立場では無いですし,そういった意味のものもありません.

この記事で気になったのは,やはり“ダメなMR”と言うところです.これは我々薬剤師もそうだと思います.今月のダメな薬剤師,なんてMRさんたちからアンケートとられたら,いかがなものでしょうか?

顧客との関係だから,という意見もあるでしょうが,私は少し苦手です.

記事にはいろいろありますが,添付文書の情報を見ればわかるような事しか言ってくれないとか,怠慢・やる気なし,情報の質が悪い,訪問のタイミングが悪いなど,いくつか挙げられています.
特に何のメリットもない訪問であったといった記載もありますが,これはこんなことを簡単に言っていいのかどうかというのも,私は少し気になってしまいます.
実際そういう方もいらっしゃるかもしれませんが,それをMRさんの業務の改善のためにこういったところでコメントするというのは良いのかもわかりません.

誰か得するのでしょうか?共感は得られるかもしれませんが,あまりいいものではないですよね.

MRさんから,上記の通り,的確な情報いただくことにより,医療に貢献することができる職種だと私は考えています.

今回は薬局薬剤師のアンケートと言うことで記事がまとめられています.

しかしながら病院薬剤師はもっとキツイ意見を平気で言ったりする人もいます.これは自戒を込めてです.

このアンケートが面白いのは,情報提供を受けているという認識があるにもかかわらず,それは個人の問題かもしれませんが,苦情の文章というのが入っているというところです.

こういった記事が,誰にどういった影響与えるのかというのを考えてのアンケートということであれば,きっとこれはMRさん方へ分かってもらいたいと言うような提示のことも含めての記事なのかもしれません.

しかしながら,これは保険薬局薬剤師の方からの意見と言うのを,忘れてはならないと思います.
それはすなわち,忙しい時間からやってきて,ダラダラ話が長いと言うのを,MRさんだけではなく,色々な職種の人にそういう思いをしていることがあり得るかもしれない,と言っているようなものです.


訪問時間の時間を割いている認識が,MRに欠如していると思われる,と指摘されていると書かれています.よほど嫌な話でもあったのでしょうか?
自分の話になってしまっていますが,それはすなわち,受ける側の我々の態度等にも,もしかしたら問題があるのかもしれないと私は考えています.

以前から話しにでていますが,製薬企業は営利企業であり,薬品が処方されたり売れなければ,いくら良い薬剤でも,プロモーションが必要になってくるのは致し方ないのかもしれません.
ただ,今の現時点では,それをやっていただけているのは機械ではなく人なのです.
少なくとも,社会人として,どういった対応が良いのか,それを考えてお付き合いし,情報を受け取る必要があると考えます.

普段から,他のメーカーさんのあまり良くないところ,悪口といった陰口といったものを言っているMR,売り上げしか興味がないようなMRと言うのは,その管理は上司になるかと思いますが,いずれ淘汰されるのではないかと私は考えています.

あの言い方が気に入らない,といった観点から難癖つけると言うのは,それはすなわちこちら側にも問題があるのではないかと思います.
MRによる医薬品の情報提供,といった観点では,今までも行われてきており,いろいろな規制っていうのはなかったと思います.

しかしながら,医薬品の情報,特にMRさんからの情報提供と言うのは,先ほども述べましたが,少なくとも受ける側の方にも,それなりの態度や節度を持って対応する必要があるのではないかと思って,今回記事の方書かせていただきました.

こんな偉そうに記事を書いている私ですが,やはり何度もイラっとさせられたことも,何度も経験しています.
そしてあまりに売り上げなどの話ばかりされていて,少しゲンナリしてしまう事も経験しています.
それでも,有益な情報いただく事の方が多いというのも,我々は知っておくべきかと思います.そうすると,受ける側のこちらの態度や,MRさん側の態度の問題で,といったところから,マイナスの気持ちを持って接するのは,あまりいいものではありません.

必ずしも受ける側,提供する側,というばかりではないですが,薬剤師としての品格をもって,医薬品の情報を扱うものとして,MRさんと接し,有益な情報を医療に生かしていきたいですね.